ひび割れ誘発目地材

KB目地



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建築設計者が再確認すべき「断面欠損率」という設計指標

建築設計者が再確認すべき「断面欠損率」という設計指標

― KB目地ARタイプが提示する次の標準 ―

RC造建築物におけるひび割れ誘発目地は、「意図した位置にひび割れを発生させる」ための設計手法です。しかし実務では、目地を設けているにもかかわらず目地外にひび割れが生じる事例があります。

その要因の一つが、断面欠損率に対する認識不足です。

本稿では、日本建築学会「鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御設計・施工指針・同解説」を踏まえながら、断面欠損率の意味と実務上の考え方、そしてKB目地ARタイプの技術的意義について整理します。


1. 断面欠損率とは何か

断面欠損率とは、壁厚に対して誘発目地による断面欠損割合を示す指標です。

誘発目地は、コンクリート断面の一部を意図的に弱めることで、ひび割れ発生位置を制御します。したがって、欠損が不十分であれば、目地は単なる「化粧目地」に留まり、ひび割れ誘発効果を持ちません。

断面欠損率は、ひび割れ誘発性能を定量的に評価できる数少ない指標であり、本来は設計段階で明確に意識されるべき数値です。

断面欠損量

2. 建築学会指針における基準

前掲の指針では、収縮ひび割れを制御するための目安として20%以上望ましくは25%以上の断面欠損率が示されています。

これはあくまで「最低限、誘発機能を成立させるための基準」です。 しかし実務では、

 ・壁厚に対して目地棒の深さが不足している

 ・そもそも「断面欠損率」自体が認識されていない

といった理由から、実際の欠損率が20%未満となっているケースも少なくありません。
結果として、「目地を設けたのに、目地外に貫通ひび割れが発生する」という現象が生じます。

建築学会基準

【欠損率不足によりひび割れが逸れた事例】


3. 25%は“第一ステップ”に過ぎない

建築分野では25%が一つの目安とされていますが、土木構造物では50%程度の欠損率を確保する考え方が一般的です。これは、

・壁厚が大きい

・拘束条件が強い

といった条件下では、25%では誘発が不十分となる可能性があるためです。
もちろん、いきなり50%を求めることは現実的ではありません。しかし少なくとも、「25%を確実に満たしているか」を確認することが、設計上の第一段階です。

建築工事の例
土木工事の例

4. かぶり厚さとの両立という課題

目地棒だけで断面欠損率を高めようとすると、目地深さを増す必要があります。 しかし、鉄筋との距離が縮まり、法定かぶり厚さを侵すリスクが生じます。
この制約があるため、

・欠損率を上げたいが、かぶりを守らなければならない

・結果として欠損率を妥協する

・壁厚のふかし幅は極力抑えたい

という設計上のジレンマが発生します。


5. KB目地ARタイプの技術的アプローチ

日本仮設が開発したKB目地ARタイプは、この課題に対し、表面欠損と内部欠損を組み合わせる構造を採用しています

技術的特徴

1. 表面目地+内部欠損材の併用

 o 表面の目地材に加え、壁厚中央部に欠損材を設置
 o 断面欠損率を引き上げる構成

2. 鉄筋固定型構造

 o 鉄筋に専用バネ材で固定することで、位置ズレを防止
 o 位置調整が自在で、一直線に取付が簡単に行える

3. かぶり厚さの維持

 o 欠損材をかぶり内に収めつつ、断面欠損を確保

これにより、

・建築基準法上のかぶりを守りながら、鉄筋の切断の必要もなく、25%以上の断面欠損率を確実に担保

・条件によっては40%以上の確保も可能

という設計的自由度を持ちます。

技術的アプローチ

6. まとめ

・断面欠損率は誘発性能を左右する基本指標である

・建築学会基準の断面欠損率25%は“最低限の第一ステップ”

・条件によっては断面欠損率40%以上を視野に入れる検討も必要

・ARタイプは、かぶり厚さを守りながら断面欠損率を構造的に確保できる仕組みを持つ

ひび割れ対策を感覚論で語るのではなく、数値としての断面欠損率を設計に組み込むこと。
それが、誘発目地を確実に機能させるための出発点です。

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