ひび割れ誘発目地とは、温度ひび割れが発生する位置を計画的に定め、所定の間隔で断面欠損部を設けることによって、ひび割れを集中的に発生させることを目的とするものです。
温度ひび割れ制御対策にはいくつかの方法があります。コンクリート標準示方書には、ひび割れ誘発目地を用いることによって、壁状構造物などに発生するひび割れを比較的容易に制御できることが示されています。
初期ひび割れの制御について(設計編・本編 12.1参照)
ひび割れ誘発目地を設けることにより、壁状の構造物等では、比較的容易にひび割れ制御を行うことができる。
ひび割れ誘発目地とは(施工編・施工標準 9.7.9参照)
コンクリート構造物の場合は、セメントの水和熱や外気温等による温度変化、乾燥収縮等、外力以外の要因による変形が生じ、このような変形が拘束されるとひび割れが発生することがある。したがって、あらかじめ定められた位置にひび割れを集中させる目的で所定の間隔で断面欠損部を設けておき、ひび割れを人為的に生じさせるひび割れ誘発目地を設けることがある。
誘発目地の役割をイメージ化します。1枚の紙を両手で引っ張ると、どこで破けるかは予想できません。しかし、この紙にミシン目を入れると、その予定の位置で破けやすくなります。このミシン目の役割がひび割れ誘発目地です。ひび割れ誘発目地はひび割れの発生箇所をコントロールするために使用します。
断面欠損率とは、壁厚に対してコンクリートの縁を切る量のことを言い、誘発目地の役割をイメージ化したところでいうミシン目量のことです。コンクリート標準示方書では「断面欠損率は50%程度以上とするのがよい」と明記されています。 日本仮設(株)ではコンクリート標準示方書と豊富な実績を参考に施工性を考慮して断面欠損率50%を推奨しております。
断面欠損率が足りない場合、ひび割れ誘発目地を設けても、ひび割れが誘発目地に命中せず、予想外のところに可能性があります。
右の写真は、Vカット目地と呼ばれる、表面に目地棒のみを取付けた物ですが、そのすぐ近くにひび割れが発生しており、あきらかに断面欠損率が足りなかったと考えられます。
誘発目地を機能的に働かす上で、適切に断面欠損率を設ける事が重要になってきます。